DISEASE

犬の乳腺腫瘍

犬の乳腺腫瘍は、犬の乳腺に発生する腫瘍で、特に中高齢の雌犬で多くみられます。

乳腺腫瘍は、乳腺にしこりとして触れることが多く、飼い主様が体を触ったときに気づくケースが少なくありません。

犬の乳腺腫瘍には

  • 良性腫瘍

  • 悪性腫瘍(乳腺がん)

の両方があり、犬では約半数が悪性腫瘍とされています。

そのため、乳腺にしこりが見つかった場合には、早めに動物病院で評価することが重要です。

犬の乳腺腫瘍とは

犬の乳腺腫瘍は、乳腺の組織が腫瘍化することで発生します。

乳腺は胸からお腹にかけて左右に並んでおり、犬では通常8〜10個程度の乳腺があります。

乳腺腫瘍は

  • 一つだけできる場合

  • 複数の乳腺に同時にできる場合

があります。

また、しこりの大きさや硬さはさまざまで、小さなしこりとして発見されることもあります。

  犬の乳腺

犬の乳腺腫瘍の症状

最も多い症状は

乳腺にできるしこり

です。

乳腺にできるしこりの特徴

  • 乳腺にしこりが触れる

  • 徐々に大きくなる

  • 硬い

  • 皮膚に固定される

乳腺にできるしこりが進行すると…

  • 潰瘍

  • 出血

  • 痛み

がみられることもあります。

転移の可能性

また、悪性腫瘍の場合には

  • リンパ節

などに転移することがあります。

犬の乳腺腫瘍の原因

犬の乳腺腫瘍の発生には、女性ホルモン(エストロゲン)が関与していると考えられています。

そのため、避妊手術の時期によって乳腺腫瘍の発生率が変わることが知られています。

避妊手術の時期によって乳腺腫瘍の発生率が変わる

一般的に

  • 初回発情前の避妊手術

  • 若齢での避妊手術

では乳腺腫瘍の発生率が低くなるとされています。

なお、当院では体への負担が少ない腹腔鏡下での避妊手術にも対応しています。

犬の乳腺腫瘍の診断

乳腺にしこりが見つかった場合、次のような検査を行います。

細胞診検査

細い針を使ってしこりの細胞を採取し、顕微鏡で調べる検査です。腫瘍の性質をある程度評価することができます。

病理検査

手術で摘出した腫瘍を詳しく調べる検査です。

この検査によって

  • 良性か悪性か

  • 腫瘍の種類

  • 悪性度

を正確に評価することができます。

転移検査

悪性腫瘍が疑われる場合には

  • レントゲン検査

  • 超音波検査

  • CT検査

などを行い、転移の有無を確認します。

犬の乳腺腫瘍の治療

外科手術

犬の乳腺腫瘍の治療の中心は

外科手術

です。

腫瘍の大きさや場所、数によって

  • 腫瘍のみ切除

  • 乳腺部分切除

  • 乳腺全体切除

など、手術方法が異なります。

薬物治療

また、悪性腫瘍の場合には

  • 抗がん剤治療

を検討することもあります。

治療方針は、腫瘍の状態や犬の体調、飼い主様の希望を考慮しながら決定します。

乳腺腫瘍は早期発見が重要

乳腺腫瘍では

腫瘍の大きさ

が予後に影響すると言われています。

一般的に

  • 小さい腫瘍

  • 早期に手術された腫瘍

では良好な経過が期待できる場合があります。

そのため、乳腺にしこりが見つかった場合には、早めに動物病院で評価を受けることをおすすめします。

セカンドオピニオンについて

犬の乳腺腫瘍では、手術方法や治療方針について迷われることも少なくありません。

当院では

  • 手術方法の相談

  • 治療方針の検討

  • セカンドオピニオン

にも対応しています。

現在の主治医の治療を否定することが目的ではなく、状況を整理し、納得して治療を選択するためのサポートを行います。

犬の乳腺腫瘍でお悩みの方へ

犬の乳腺腫瘍は、早期に診断し適切に治療することが重要な病気です。

乳腺にしこりが見つかった場合には、まずは検査を行い、腫瘍の性質を評価することが大切です。

当院では、腫瘍科認定医による診断と治療を行っています。

犬の乳腺腫瘍についてお悩みの方は、お気軽にご相談ください。

よくあるご質問

乳腺にしこりを見つけました。しばらく様子を見てもよいでしょうか?

様子を見ずに、早めの受診をおすすめします。犬では乳腺腫瘍の約半数が悪性とされており、しこりが小さいうちに手術できたほうが良好な経過を期待しやすいためです。小さなしこりでも、時間が経つと大きくなったり数が増えたりすることがありますので、気づいた時点でご相談ください。

良性か悪性かは、見ただけでわかりますか?

見た目やさわった感触だけで良性か悪性かを確実に判断することはできません。細い針で細胞を採る細胞診でおおよその見当をつけることもありますが、乳腺腫瘍では細胞診だけで良性か悪性かを正確に判定できないことがあります。最終的には、手術で摘出したしこりを病理検査で調べて、良性か悪性か・腫瘍の種類・悪性度を判定します。硬い、徐々に大きくなる、皮膚に固定されているといった特徴がある場合は、悪性の可能性も考えて検査を進めます。

避妊手術をしていれば乳腺腫瘍にはならないのでしょうか?

避妊手術をしていても発生することはありますが、時期によって発生率が変わることが知られています。犬の乳腺腫瘍には女性ホルモンが関わっているため、初回発情前や若齢での避妊手術では発生率が低くなるとされています。すでに成犬になってからの避妊でも意味がないわけではありませんので、迷われている場合は診察のうえでご相談ください。

手術はどこまで切除するのでしょうか?

しこりの大きさや場所、数によって切除する範囲が変わります。腫瘍のみを切除する場合、乳腺を部分的に切除する場合、乳腺全体を切除する場合があり、事前の検査結果をふまえて手術方法を決めていきます。どの範囲まで切除するのが適しているかは、診察のうえでご説明します。

手術で取りきれば、もう再発や転移の心配はありませんか?

手術で腫瘍を取りきることが治療の中心ですが、悪性の場合はリンパ節や肺などに転移することがあります。手術前にはレントゲン検査や超音波検査、CT検査などで転移の有無を確認し、必要に応じて抗がん剤治療を検討します。手術後も定期的な確認をおすすめしています。予後は個体差が大きいため、腫瘍の状態を確認したうえで診察のなかでご説明します。

高齢の犬でも手術を受けられますか?

年齢だけで手術ができないと決まるわけではありません。心臓や腎臓などの状態を血液検査や画像検査で確認し、麻酔や手術に耐えられるかを評価したうえで判断します。体調やほかの病気の有無もふまえ、手術を行う場合のメリットと負担を整理してご説明しますので、高齢だからとあきらめずにご相談ください。

検査や手術の費用はどのくらいかかりますか?

必要な検査や手術の範囲は動物ごとに異なるため、金額は診察のうえでご案内します。しこりの状態や検査の内容を確認してから、想定される費用の目安をお伝えします。費用についてもご遠慮なくご相談ください。

SUPERVISED BY / 監修

このページは、南大沢どうぶつ病院 院長・獣医師 保坂 創史(日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅰ種)が監修しています。

最終更新日:2026-06-25

CASES

当院の症例紹介

気になる症状は、お気軽にご相談ください

南大沢どうぶつ病院/多摩八王子動物がんクリニック