TUMOR TREATMENT
犬・猫のがん(腫瘍)診療
犬や猫に「がん(腫瘍)」が見つかったとき、多くの飼い主様は大きな不安を感じます。
手術をした方がいいのか
抗がん剤は苦しくないのか
どのくらい生きられるのか
今の治療が本当に正しいのか
インターネットには多くの情報がありますが、その情報が 動物たちに当てはまるとは限りません。
当院の腫瘍科では
「医学的に正しい治療」だけでなく「動物たちとご家族にとって納得できる選択」
を大切にしています。
がんと向き合う時間の中で「どう生きる時間を守るか」を一緒に考えること。
それが当院の腫瘍科診療の基本姿勢です。
当院の腫瘍科の特徴
当院では、犬・猫の腫瘍(がん)診療を専門的に行っています。院長は 日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅰ種 を取得しており、腫瘍学の専門的な知識と臨床経験をもとに診療を行っています。
腫瘍科認定医Ⅰ種は、大学病院などでの腫瘍科研修、学会発表、論文発表などを行うなどで知識・経験を高めることによる、専門的な知識・技術が必要となる資格で、日本国内でも約50名と取得者は限られています。(2026年3月現在)
当院では
正確な診断
適切な治療選択
生活の質(QOL)を守る医療
を重視し、外科・内科・緩和ケアを組み合わせた 総合的ながん診療 を行っています。
当院の腫瘍科が大切にしていること
がん治療には、必ずしも「ひとつの正解」があるわけではありません。当院では、動物の病状だけでなく、年齢・全身状態・性格・生活スタイル・ご家族の意向まで総合的に評価し、オーダーメイドの治療プランを立案します。
同じ病気でも
根治を目指す治療
進行を抑える治療
生活の質を優先する治療
など、さまざまな選択肢があります。
当院では
「医学的に最善の選択」と「動物たちとご家族にとっての最善」
この両方を大切にしながら、治療方針を一緒に考えていきます。
治療を無理にすすめることはありません。ご家族が納得した上で選択できるよう、丁寧な説明を心がけています。
腫瘍の早期発見・早期治療にも力を入れています
また、当院では腫瘍の早期発見・早期治療にも力を入れており、定期健診や画像診断などのスクリーニング体制も充実。飼い主様が「何となく元気がない」「しこりに気づいた」といった小さな異変に気づいた時、すぐにご相談いただける環境をご用意しています。
マイクロCT検査機器
こんな症状があれば腫瘍科へ
がんは、必ずしも「大きなしこり」だけで見つかるわけではありません。初期にはごくわずかなサインしか出ないことも多く、「年のせいかな」「少し太っただけかな」と見過ごされてしまうこともあります。以下のような症状が見られた場合は、なるべく早めに腫瘍科への受診をご検討ください。
体の表面・皮膚の変化
新しくできたしこり・イボ、以前からあるしこりの急な増大
しこりの表面が赤くただれてきた、血がにじむ・かさぶたが取れては出血する
皮膚の色が変わる、局所的な脱毛や硬いしこり状の変化
全身状態の変化
はっきりした原因なく、食欲が落ちてきた・好きなおやつにも反応が鈍い
元気がなく、寝ている時間が増えた、散歩や遊びに行きたがらない
体重がゆっくりと減ってきている、肋骨が浮き出てきた
呼吸器・循環器・消化器のサイン
咳が増えた、運動時にすぐ息が上がる、呼吸が苦しそう
嘔吐や下痢が続いている、便に血が混じる、黒っぽいタール様便が出る
尿の色が赤い・濁っている、頻繁にトイレに行くが少量しか出ない
口腔・乳腺・肛門周囲などの局所症状
口の中のしこり・出血、よだれが多い、口臭の急な悪化
乳腺のしこり(特に猫では小さなしこりでも要注意)
肛門の横に硬いしこり、排便時の痛がり・血便
犬の場合、皮膚の良性腫瘍(脂肪腫など)も多い一方で、見た目が「ただのイボ」に見えても悪性の肥満細胞腫などであることもあり、自己判断での様子見は危険です。猫の場合は、乳腺腫瘍の多くが悪性とされており、数ミリ程度の小さなしこりでも早期に手術を検討すべきケースが少なくありません。
「年齢のせい」「少し太った(痩せた)だけ」と見過ごしてしまうと、治療の選択肢が狭まってしまうことがあります。「気のせいかも」と感じる程度の変化でも、早めにご相談いただくことで、検査や治療の負担を抑えながら対応できることも多くあります。
腫瘍科認定医による専門診療
当院の腫瘍科診療は、日本獣医がん学会腫瘍科認定医Ⅰ種を取得した院長を中心に行っています。
腫瘍科認定医Ⅰ種は、大学病院や専門施設における腫瘍科専科研修、学会発表・論文執筆、教育活動など、長年にわたる腫瘍学への貢献が求められる資格で、日本国内でも約50名しかいない高度な専門資格です。
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当院の腫瘍科で実施している検査
がん治療でもっとも重要なのは、「正確な診断」と「病気の広がり(ステージ)の評価」です。同じ「しこり」でも、良性の腫瘍と悪性のがんでは治療方針が大きく異なります。また、手術が最適なのか、抗がん剤治療が中心となるのか、緩和ケアに重心を置くのかを判断するためにも、腫瘍の種類と進行度を多角的に把握する必要があります。当院では、以下のような検査を組み合わせて行います。
問診・身体検査
まずは、しこりに気づいた時期・大きさや硬さの変化・食欲や元気の変化・体重の推移・これまでの持病や治療歴などを丁寧にお伺いします。そのうえで、全身の視診・触診・聴診を行い、しこりの場所や数、リンパ節の腫れ、痛みの有無などを確認します。
血液・尿・便検査
腫瘍そのものだけでなく、貧血・炎症・肝臓や腎臓の機能・カルシウム値など、全身状態への影響を調べます。これにより、どの治療法が安全に行えるか、麻酔に耐えられるかなども判断できます。
画像検査(レントゲン・超音波・CT・MRI)
胸部レントゲン検査で肺転移の有無を確認し、腹部超音波検査で肝臓や脾臓・腎臓・腸管など内臓の腫瘍や転移を評価します。より詳しい評価が必要な場合には、提携施設と連携してCT検査(猫、小ー中型犬対応可。大型犬は提携施設にて実施)やMRI検査(提携施設にて実施)を行い、鼻腔内・頭蓋内・骨など、通常の検査では分かりにくい部位まで詳しく調べます。
細胞診
しこりに細い注射針を刺し、吸い取った細胞を顕微鏡で観察する検査です。多くの場合、麻酔をかけずに短時間で行うことができ、動物への負担が少ないため、最初のスクリーニング検査としてよく用いられます。「炎症による腫れなのか」「良性腫瘍か」「悪性腫瘍が強く疑われるか」の判断材料となります。
組織生検・病理組織検査
より正確な診断や悪性度の評価が必要な場合には、腫瘤の一部もしくは全体から組織を採取し、病理医による詳細な検査を行います。これにより、腫瘍のタイプや悪性度、切除マージン(どこまで切り取る必要があるか)の目安などが分かり、手術方法や化学療法の選択に役立ちます。
総合判断(ステージング)
これらの結果を総合的に評価し、「どの臓器にどの程度広がっているか(ステージ)」「根治を目指せるのか、コントロールが目的なのか」「どの治療法が動物たちにとって最もメリットが大きいか」を検討します。そのうえで、複数の選択肢とそれぞれのメリット・デメリット・費用感を丁寧にご説明し、飼い主様と一緒に治療方針を決めていきます。
当院での腫瘍科における治療法
当院では、がんの種類・進行度・全身状態・ご家族のご希望をふまえ、以下のような治療法を組み合わせて行います。
外科手術
取りきることで根治が期待できる腫瘍では、外科手術が第一選択となります。腫瘍の種類や部位に応じて、「どこまでの範囲を切除すべきか(切除マージン)」を慎重に検討し、腫瘍を周囲の正常組織ごと十分な厚みをもって切除することを心がけています。大きな切除が必要な場合には、グループ病院と連携した高度な手術も選択肢となります。
化学療法(抗がん剤治療)
リンパ腫をはじめ、全身性に広がる腫瘍では抗がん剤治療が治療の中心となります。当院では、腫瘍科認定医が監修したプロトコルに基づき、体重や全身状態、副作用の出方を確認しながらきめ細かく投与量を調整します。また、吐き気止めや整腸剤、食欲増進剤などを併用し、副作用を最小限に抑えながら治療を継続できるようサポートします。
分子標的薬・その他の薬物療法
一部の腫瘍に対しては、がん細胞の増殖に関わる特定の分子を狙い撃ちにする「分子標的薬」が有効な場合があります。従来の抗がん剤と比べて副作用の出方が異なるため、定期的な血液検査や問診を行いながら慎重に使用します。
放射線治療(連携施設にて実施)
鼻腔内腫瘍・一部の脳腫瘍・手術が難しい部位の腫瘍などでは、放射線治療が有効な選択肢となることがあります。当院では、放射線治療設備を有する大学病院・高度医療センターと連携し、症例に応じてご紹介・共同治療を行っています。
緩和ケア・終末期ケア
根治が難しい場合でも、「痛みを和らげる」「呼吸を楽にする」「食べられるようにする」といった緩和ケアを通じて、動物たちが自分らしく過ごせる生活を少しでも長く維持してあげることができます。鎮痛薬の調整・吐き気のコントロール・栄養サポート・在宅ケアのアドバイスなど、ご家族が自宅でできるケアも含め、QOLを最優先したサポートを行います。
当院では、これらの治療法を「どれかひとつを選ぶ」のではなく、「組み合わせ方」を設計することを大切にしています。たとえば、外科手術で腫瘍量を減らしたあとに化学療法で残ったがん細胞を抑える、根治は難しいが放射線治療と緩和ケアで痛みを軽減するなど、動物たちにとって最もメリットが大きい治療戦略をご提案します。
当院での腫瘍科治療の流れ
初めて腫瘍科を受診される方は、「何から始まるのか」「どのくらい通院が必要なのか」といった点も大きな不安の一つだと思います。当院での一般的な治療の流れは次の通りです。
1
初診・ご相談(問診)
まずは、これまでの経過や気になっている症状、他院での検査・治療歴、ご家庭の状況やご希望などを詳しくお伺いします。この段階では、治療を決めるというより、「現状を整理する」ことを目的に、お気持ちも含めてじっくりお話を伺います。
2
身体検査と初期評価
視診・触診・聴診を行い、しこりの状態・リンパ節の腫れ・心音や呼吸音などを確認します。この結果をもとに、優先して行うべき検査(画像検査・血液検査・細胞診など)をご提案します。
3
精密検査の実施
必要に応じて、
血液検査・尿検査・便検査
レントゲン検査・超音波検査
CT検査(猫、小ー中型犬対応可。大型犬は提携施設にて実施)
MRI検査(提携施設にて実施)
細胞診・組織生検・病理検査
などを組み合わせて行います。動物への負担を最小限にしつつ、治療方針の決定に必要な情報を過不足なく集めることを心がけています。
4
診断結果のご説明と治療方針のご提案
検査結果を整理し、腫瘍の種類・ステージ(進行度)・今後予想される経過について分かりやすくご説明します。そのうえで、
外科手術を中心とした治療
化学療法・分子標的薬による治療
放射線治療を含めた集学的治療(連携施設)
緩和ケアに重心を置いた治療
など、複数の選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリット・副作用・通院頻度・費用の目安などを詳しくお伝えします。
5
治療の開始と経過観察
飼い主様と相談のうえで治療方針が決まったら、動物たちの体調に合わせて治療を開始します。治療中は、定期的な血液検査や画像検査、問診を通じて効果と副作用を評価し、必要に応じてプロトコルの変更や休薬を行います。
6
定期フォローアップ・再発チェック
治療が一段落した後も、再発や新たな腫瘍の早期発見のために定期的な検診を行います。治療後の生活の過ごし方や、ご自宅での観察ポイントについても丁寧にお伝えし、ご家族と一緒に見守っていきます。
7
緩和ケア・終末期ケアのサポート
根治が難しい場合や高齢で積極治療を望まれない場合には、痛みや不快な症状をできる限り抑え、動物たちが自分らしく穏やかに過ごせる時間を大切にする緩和ケアをご提案します。在宅ケアの方法や、ご家族の心のケアについてもサポートいたします。
セカンドオピニオンについて
当院では セカンドオピニオンのみの相談 も受け付けています。
今の治療が正しいのか知りたい
別の治療方法があるか知りたい
専門医の意見を聞きたい
このようなご相談も歓迎しています。
当院が選ばれる理由
当院では
専門性
丁寧な説明
飼い主様の価値観を尊重する医療
を大切にしています。
治療を強制することはありません。複数の選択肢を提示し、ご家族と一緒に考える医療を行っています。
こんな方に選ばれています
がんと診断された
しこりが気になる
治療方針に迷っている
セカンドオピニオンを聞きたい
専門的な診療を受けたい
まずは評価だけでも構いません
がん診療で大切なのは早く正しい情報を得ることです。
「まだ治療を決めていない」「相談だけでもいいのか」
そのような場合でも問題ありません。
まずは現在の状況を整理するところから始めましょう。
お気軽にご相談ください。
SUPERVISED BY / 監修
このページは、南大沢どうぶつ病院 院長・獣医師 保坂 創史(日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅰ種)が監修しています。
最終更新日:2026-06-25
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