About FIP
猫伝染性腹膜炎(FIP)について
当院が治療に取り組む理由と最新の治療法
1.FIPとはどのような病気か
猫伝染性腹膜炎(FIP:Feline Infectious Peritonitis)は、これまで「不治の病」とされてきたウイルス性疾患です。原因は猫腸コロナウイルスの変異であり、通常のコロナウイルスとは異なり、体の中で攻撃性を持つ「FIPウイルス」へ変化したときに発症します。
以前は確立した治療法がなく、診断されると短期間で亡くなるケースが多い病気でした。しかし近年、海外での研究と臨床実績が蓄積され、レムデシビル(Remdesivir)およびモルヌピラビル(Molnupiravir)を用いた治療で、非常に高い治療成功率が報告されるようになりました。
FIPは適切な治療を行えば「助けられる病気」へと変わりつつあります。
2.FIPの主な症状
FIPには「ウエットタイプ(滲出型)」と「ドライタイプ(非滲出型)」があり、症状が異なります。
ウエットタイプ
腹水・胸水がたまり、お腹や胸が膨れる
呼吸が速くなる、苦しそうにする
発熱、活力低下、食欲不振
ドライタイプ
体重減少、慢性的な元気低下
貧血、黄疸
眼の炎症(ぶどう膜炎・網膜病変)
神経症状(ふらつき、けいれん、斜頸)
どちらのタイプでも、早期に治療を開始するほど回復の可能性が高まります。
3.FIPの診断について
FIPは単一の検査で確定診断が難しい病気です。当院では下記の情報を組み合わせて診断を行います。
- 血液検査(炎症マーカー、貧血、黄疸など)
- エコー検査(腹水の有無・臓器の変化)
- レントゲン検査(臓器の変化)
- 腹水・胸水検査
- コロナウイルス抗体価/PCR検査
- 神経症状・眼症状の評価
当院ではFIP診断の経験が豊富な獣医師が担当し、症状の分類、治療適応判断、予後の推定を丁寧に行っています。
4.FIPに対する最新治療
当院では、レムデシビル(注射)とモルヌピラビル(内服)を組み合わせた治療を行っています。これは現在、世界的に高い治療効果が報告されている方法であり、特に以下の点で優れています。
レムデシビル(Remdesivir):点滴・注射
初期集中治療に有効
ウエットタイプや重度症例で効果が高い
速やかな症状改善が期待できる
モルヌピラビル(Molnupiravir):内服薬
継続治療に優れる抗ウイルス薬
神経症状・眼症状の改善が報告
レムデシビルと併用することで治療効果が向上
治療期間
5.治療成功率について
世界的には80〜90%以上の寛解率が報告されており、当院でも多くの猫が回復しています。
当院で治療を行うメリット
FIP症例の治療経験が豊富
レムデシビルおよびモルヌピラビルを症例に応じて適切に使い分け
点滴治療、通院プラン、在宅管理のサポートまで一貫対応
血液検査・画像診断を院内で迅速に実施可能
FIPを治療できる病院は全国的にまだ多くありません。そのため、早期介入ができず症状が悪化するケースも少なくありません。
当院では、FIP治療に積極的に取り組み、多くの症例経験を蓄積してきたことで、治療開始から数日で活力や食欲が改善するケースも多数あります。
6.よくあるご質問(FAQ)
Q1. FIPは治りますか?
完全に「治る」とは断言できませんが、適切な治療を行えば多くの猫が日常生活へ戻れます。
Q2. 副作用はありますか?
検査とモニタリングを綿密に行い、安全性を確保します。
Q3. 治療費はどのくらいですか?
症状や体重により異なるため、初診時に詳しくご説明します。
Q4. 治療中は通院が必要ですか?
初期は通院が必要ですが、状態により在宅治療中心となる場合もあります。
院長からのメッセージ|当院が腹腔鏡手術をおすすめする理由
FIPは、かつて「助けることができない病気」とされてきました。しかし今、治療法の進歩により多くの猫が回復できる病気となっています。
当院では、FIP治療に積極的に取り組み、症例を通じて治療経験を蓄積してきました。飼い主様の不安に寄り添いながら、最新かつ信頼性の高い治療を提供し、一日でも早く元気な姿を取り戻せるよう全力を尽くします。
大切な家族の命を救うために、どうか早期のご相談をおすすめいたします。