castration

避妊・去勢手術

operation

糸を使わない手術

手術時には血管や組織を手術用の糸を使って結び、切断して、腫瘍や卵巣・子宮、精巣などを摘出します。
しかし、下記の異物反応性肉芽腫を防ぐためには、なるべく縫合糸を用いない方法が望まれます。
そこで当院では、縫合糸を使わずに血管、組織の処理が可能な「EnSeal System(エンシールシステム)」という機械を使用しています。 これはヒトの手術でも使用されている機械(組織シーリングシステム)で、高周波電流によって、組織・血管の癒合(シーリング)を行なう手術システムです。

サージレックス・エンシールシステム

異物反応性肉芽腫について

異物反応性肉芽腫(縫合糸肉芽腫・縫合糸膿瘍)とは、手術時に使用する縫合糸によって起こる病気です。

これは手術の際に使用する縫合糸を異物として体が反応して、その周囲に炎症を起こしたり、肉芽腫として、しこりを形成する病気です。近年、体内に残った糸が引き起こす、この異物反応性肉芽腫という病気の報告が増えています。

一度起きてしまうと、再手術でそのしこりを取り除いたり、完全に取りきれない場合には、ステロイド剤などの免疫抑制剤を使わないといけない場合があります。

特に、ミニチュア・ダックスフントでの報告が多く、チワワ、トイ・プードル、マルチーズ、シーズー、ゴールデン・レトリバーなど多くの犬種で報告されています。

★組織シーリングシステム

組織シーリングシステムとは、高周波電流を利用して、組織・血管を癒合(シーリング)して切断する方法です。
EnSeal(血管シーリングシステム)の場合、最大で7mmまでの血管をシールすることが可能です。
これにより、縫合糸をなるべく用いずに手術することが可能です。

このシステムにより、下記のメリットが得られます。

1、体内に糸をなるべく残さずに手術が可能です
2、手術時間の短縮ができ、より動物たちへの負担を軽減します

castration

避妊・去勢手術による病気の予防効果

避妊・去勢手術は様々な病気の予防という観点から、当院ではすべての動物たちにお勧めしています

避妊手術による乳腺腫瘍の予防効果について

メスの犬、猫におこなう避妊手術(卵巣・子宮摘出術)は様々な病気の予防効果が期待できます。特に乳腺腫瘍に関しては、早期の手術によって発生をほとんど抑えることが可能です。乳腺に発生する腫瘍のうち、犬では約50%、猫では約70-90%が悪性腫瘍(がん)です。

★手術の時期と乳腺腫瘍発生率の関係

(イヌの場合)

初回発情前 0.5%
発情1回目以降 8%
発情2回目以降 26%
(2回目以降は手術しない場合と発生率は変わりません)

上記のように、早期の手術によって、乳腺腫瘍の発生率がかなり下がります。これは猫でも同様と考えられています。子供を作らないと決めている場合には、生後6ヶ月前後での手術をお勧めいたします。

★その他の病気の予防について

卵巣と子宮を摘出しますので、子宮蓄膿症や卵巣腫瘍など、卵巣、子宮疾患の発生を予防できます。また、ソ径ヘルニアの発生率が低下することもわかっています。

さらに、望まない妊娠を避けるだけでなく、発情出血や発情期のわずらわしさ、本人のストレスもなくなります。このようなメリットがたくさんあります。

去勢手術について

オスの犬、猫におこなう去勢手術(精巣摘出術)にも様々なメリットがあります。早期の手術でマーキング行動が抑制できます。これは犬では足を上げておしっこをしませんし、猫の場合には、家の中のいろいろな場所にオシッコを引っ掛けると行った行動が予防できます。

また個体差はありますが、攻撃性が緩和し性格が穏やかになります。また、下記のようなメリットがあります。

  • 前立腺肥大の発生率が低下します(加齢と共に発症率は上がります)
  • 会陰ヘルニアの発生率が低下します(特にW.コーギーやM.ダックスに多い病気です)
  • 精巣腫瘍の発生を防ぎます(停留精巣・陰睾の場合、腫瘍化する可能性が高くなります)
  • 肛門周囲腺腫の発生率が低下します

このように去勢手術には様々なメリットがありますので、当院では若いうちに手術を受けられることをお勧めしております。

手術のデメリットについて

手術をおこなうことの一番のデメリットは、麻酔のリスクです。当院では手術前に身体検査や血液検査をおこなうことによって、そのリスクを最小限に抑えています。現在、犬・猫への麻酔の方法・技術は確立されており、かなり安全であると考えております。

その他のデメリットは、太りやすくなることです。しかしこれは、ご家族が食事量と運動量のバランスに気をつけていただくことで、防げると考えています。

このように避妊・去勢手術はデメリットよりもメリットの方が多く、様々な病気の予防にとても効果的です。特にメスの場合には生後6ヶ月前後での手術をお勧めいたします。

手術の流れ

手術は予約制となります。手術前日以前に、麻酔が安全にかけられるかどうかの身体検査と血液検査をおこないます。血液検査には30-40分ほどかかりますので、お時間のある時にいらしてください。検査結果が出ましたら、結果のご説明と手術についてのご説明をさせていただきます。

ご希望の日が決まっていらっしゃれば、その場で手術のご予約をしていただけます。手術の当日は朝の食事を与えずに午前中にいらしていただき、お昼に手術を行い、当日の夕方もしくは翌日退院となります。

何がご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。