おもちゃや布、骨などを飲み込んでしまう誤飲の事故は、特に若い犬で多くみられます。飲み込んだものが胃や腸にとどまると、場合によっては命に関わることもあります。
飲み込んだものが胃の中にとどまっていれば、内視鏡(胃カメラ)で取り出せることが多く、お腹を切らずにすみます。腸まで進んでしまった場合や大きなものでは、腹腔鏡補助下や開腹での摘出が必要になります。
消化管・胃内異物とは
飲み込んだものが自然に便として出ず、胃や腸にとどまってしまった状態です。異物が腸をふさぐと、嘔吐や食欲不振、元気の低下などがみられ、進行すると腸閉塞という緊急の状態になることがあります。
飲み込んだものが疑われるとき、また嘔吐が続くときは、できるだけ早く受診してください。
摘出の方法
異物の位置や大きさによって、摘出の方法が変わります。当院では次の3つを使い分けています。
内視鏡(胃カメラ)での摘出
胃の中にある異物では、口から内視鏡(軟性鏡)を入れて取り出せることが多く、当院でもこの方法がもっとも多くなっています。お腹を切らずにすむため、体への負担がとても少ない方法です。
胃を通り越して腸まで進んでしまったものには、この方法は使えません。だからこそ、誤飲に気づいた時点で早く受診していただくことが大切です。
腹腔鏡補助下での摘出
条件が合う場合には、腹腔鏡を併用して、小さな切開で異物を取り出すこともあります。開腹に比べて傷が小さくてすみます。
開腹手術
腸に進んでしまった異物や、大きなもの、腸がふさがっている場合には、開腹手術で確実に取り出します。緊急性が高いときは、確実さと安全性を優先してこの方法を選びます。
適応の判断
まずレントゲン検査や超音波検査などで、異物の位置や大きさ、腸の状態を確認します。そのうえで、内視鏡で取り出せるのか、腹腔鏡補助下で対応できるのか、開腹手術が必要なのかを判断します。緊急性が高い場合には、確実に取り出せる方法を優先します。
よくあるご質問
どんな異物が対象になりますか?
飲み込んだものの種類、位置、大きさによって対応できる方法が変わります。胃の中にある比較的小さなものは内視鏡で取り出せることもありますが、腸に進んでしまったものや大きなものは開腹が必要なことがあります。まずは検査で状態を確認します。
誤飲したかもしれません。すぐ受診したほうがよいですか?
飲み込んだものが疑われるとき、嘔吐や食欲不振、元気の低下がみられるときは、早めの受診をおすすめします。時間が経つほど、腸がふさがるなど状態が悪くなることがあります。何をどのくらい飲み込んだ可能性があるかを、受診時にお伝えください。
内視鏡や腹腔鏡で、すべての異物を取り出せますか?
すべてに対応できるわけではありません。異物の位置や大きさ、腸のふさがり具合によっては、開腹手術のほうが安全で確実なことがあります。検査の結果をふまえて、適した方法を選びます。
誤飲を防ぐにはどうすればよいですか?
飲み込みやすい大きさのおもちゃや、かじって割れるもの、布や紐などは、届く場所に置かないことが基本です。特に若い犬は何でも口に入れてしまうことがありますので、生活環境を見直しておくと安心です。
SUPERVISED BY / 監修
このページは、南大沢どうぶつ病院 院長・獣医師 保坂 創史(日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅰ種)が監修しています。2009年より腹腔鏡手術に取り組んでいます。
最終更新日:2026-06-25