近年、動物医療の現場でも「腹腔鏡手術」という新しい選択肢が広がりつつあります。腹腔鏡手術とは、開腹手術とは異なり、お腹を大きく切らずに、数か所の小さな穴から内視鏡や専用の器具を挿入して行う手術方法です。人の医療分野ではすでに広く普及しており、「低侵襲手術」として知られていますが、動物医療の世界でも導入が進んでいます。
腹腔鏡手術の最大の特徴は、動物の体にかかる負担が少ないことです。従来の開腹手術では、皮膚・筋肉・腹膜を大きく切開する必要がありましたが、腹腔鏡では直径5〜10ミリ程度の小さな穴を数か所あけるだけ。そこから高性能カメラ付きのスコープを挿入し、モニターでお腹の中の様子を映し出しながら、繊細に手術を進めていきます。
このため、出血や術後の痛みが大幅に軽減され、回復も早くなります。術後の入院日数が短く済み、動物も飼い主様もストレスを最小限に抑えることができます。とくに若い犬や猫の避妊手術や、健康診断で見つかった異常組織の切除などで、その利点が活かされます。
また、腹腔鏡による拡大映像により、肉眼では見えにくい小さな病変の発見や、より精密な処置が可能になる点も大きなメリットです。動物にとって負担の少ない治療を選びたいとお考えの飼い主様には、ぜひ一度「腹腔鏡手術」という選択肢を知っていただければと思います。
SUPERVISED BY / 監修
このページは、南大沢どうぶつ病院 院長・獣医師 保坂 創史(日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅰ種)が監修しています。2009年より腹腔鏡手術に取り組んでいます。
最終更新日:2026-06-25