FIP(猫伝染性腹膜炎)の治療を検討される飼い主様から、よくいただくご質問にお答えします。ご不明な点は、診察の際に遠慮なくお尋ねください。
FIPは本当に治る病気になったのですか?
かつては「ほぼ助からない」とされていた病気ですが、ウイルスの増殖を抑える抗ウイルス薬が使えるようになり、状況は大きく変わりました。世界的には、8割から9割の猫で長期的な改善が期待できると報告されています。ただし、必ず治るとお約束できるものではなく、早期発見と正確な診断、十分な期間の治療がそろうことが大切です。
治療にはどのくらいの期間がかかりますか?
通常は84日(12週間)が目安です。途中で症状が良くなっても、そこでやめると再発しやすくなるため、最後まで続けることが重要です。症状の重さや反応によって前後することがあります。
どんなお薬を使いますか?
主にレムデシビル(注射・点滴)とモルヌピラビル(内服)を使います。症状が重い時期は注射で立ち上げ、状態が落ち着いたら内服に切り替えてご自宅での治療に移ることが多いです。当院はこの2剤の両方を院内に備えています。
費用はどのくらいかかりますか?
自由診療(保険適用外)となり、お薬代の目安は84日間で体重や治療内容により約21〜60万円程度です。このほかに初期の診断費用(2〜5万円程度)や定期的な検査費用がかかります。詳しくは費用のページをご覧いただくか、診察の際にご説明します。
なぜ保険が使えないのですか?
FIP治療に用いるレムデシビルとモルヌピラビルは、現時点で日本国内では一般に市販されていないお薬です。そのため治療は自由診療となります。
副作用はありますか?
注射した部位の痛み、軽い嘔吐や下痢、肝臓の数値の上昇、白血球の減少などが起こることがあります。当院では治療中も定期的に血液検査を行い、安全性を確認しながら進めます。
治療が効いているかは、どうやってわかりますか?
多くの場合、1週間以内に熱が下がり食欲が戻る、2〜4週間で血液検査の数値が改善する、といった変化が見られます。定期的な診察と検査で経過を確認していきます。
治療が終わったあと、再発することはありますか?
治療終了後の再発は、報告ではおよそ5〜15パーセントとされています。再発を防ぐため、決められた期間・量をやりきることと、終了後も少なくとも3か月ほど定期チェックを続けることが大切です。
他院でFIPと診断されました。相談だけでも可能ですか?
はい。診断の確認や、今から取りうる治療の選択肢の整理だけでも承ります。「治療は難しいと言われた」という方のご相談も増えていますので、一人で抱え込まずにご相談ください。
多頭飼いです。ほかの猫にうつりますか?
FIPそのものが猫から猫へ直接うつるわけではありません。もとになる猫コロナウイルスは多くの猫が持っている一般的なウイルスですが、それが体内で変異してFIPを発症するのはごく一部です。同居猫がいる場合の注意点についても、診察の際にご説明します。
SUPERVISED BY / 監修
このページは、南大沢どうぶつ病院 院長・獣医師 保坂 創史(日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅰ種)が監修しています。レムデシビル・モルヌピラビルを用いた猫のFIP治療に取り組んでいます。
最終更新日:2026-06-25