FIPは、「この検査ひとつで100パーセント確定できる」という決め手の検査が少ない病気です。だからこそ、いくつかの検査結果と、猫ちゃんの年齢・これまでの経過・症状を合わせて、総合的に判断していくことが大切になります。
当院で行う主な検査
血液検査(貧血の有無、白血球、A/G比、炎症の程度を示す数値など)
超音波検査(腹水・胸水の有無、臓器の腫れやしこりの確認)
X線検査
胸水・腹水を採って調べる性状検査
PCR検査(ウイルスの遺伝子を調べる)
目や神経の症状が疑われる場合は、眼科検査・神経学的検査
これらの結果を組み合わせ、「FIPとして矛盾がないか」を一つずつ確認していきます。
抗体検査(FCoV抗体価)の位置づけ
「猫コロナウイルスの抗体価が高い」と言われて、ご不安になって来院される方が多くいらっしゃいます。まずお伝えしたいのは、抗体検査だけでFIPと診断することはできないということです。
この検査でわかるのは、その猫が猫コロナウイルス(FCoV)に接したことがあるかどうかです。FIPを発症しているかどうかを判定する検査ではありません。
元気に暮らしている猫でも、抗体は陽性になります。とくに多頭飼育のご家庭では珍しくありません
抗体価が高いというだけでは、FIPとは判断できません
反対に、FIPを発症していても抗体価がはっきり上がらないことがあります
感染から抗体ができるまでには1〜4週間ほどかかるため、発症の初期には陰性に出ることもあります
そのため当院では、抗体価の数字だけで方針を決めることはありません。上に挙げた検査の結果と、年齢・これまでの経過・症状とあわせて、総合的に判断していきます。抗体価は「FIPかどうか」ではなく、あくまで手がかりの一つとして扱う数字です。
猫コロナウイルスとFIPの関係については、猫コロナウイルス(FCoV)とFIPの関係のページで詳しくご説明しています。
診断は経験が大きく関わります
FIPは症状の出かたが猫によってさまざまで、他の病気とまぎらわしいこともあります。数値の少しの傾きや、水の性状、目や神経のわずかな変化など、いくつもの手がかりを組み合わせて判断する必要があります。当院ではFIPの診断・治療の経験を積み重ねており、その経験をもとに、できるだけ早く方針を立てられるよう努めています。
「FIPと言われたが治療は難しいと言われた」という方へ
他院で「FIPの疑いがあるが、治療は難しい」と言われて、当院にご相談に来られる飼い主様も増えています。診断の確認や、今から取りうる治療の選択肢について、あらためて一緒に整理させていただくことができます。セカンドオピニオンだけのご相談も歓迎しています。
SUPERVISED BY / 監修
このページは、南大沢どうぶつ病院 院長・獣医師 保坂 創史(日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅰ種)が監修しています。レムデシビル・モルヌピラビルを用いた猫のFIP治療に取り組んでいます。
最終更新日:2026-06-25