犬の体を触っていて「しこり」を見つけたとき、多くの飼い主様が不安を感じます。
「これはがんなのだろうか」「様子を見ても大丈夫なのか」「すぐに病院に行くべきなのか」
犬のしこりには、良性のものもあれば悪性腫瘍(がん)の場合もあります。そのため、見た目や触った感触だけで判断することは難しく、適切な検査が必要になることがあります。
犬のしこりの主な原因
犬のしこりにはさまざまな原因があります。大きく分けると、以下の3つに分類されます。
良性腫瘍
良性腫瘍は比較的ゆっくり成長し、転移することはほとんどありません。
代表的なもの
脂肪腫
皮脂腺腫
乳頭腫
脂肪腫は特に中高齢の犬でよくみられ、柔らかいしこりとして触れることが多いです。
悪性腫瘍(がん)
悪性腫瘍の場合、周囲の組織に広がったり、体の別の場所に転移したりする可能性があります。
代表的なもの
犬でよくみられる腫瘍には次のようなものがあります。
肥満細胞腫
乳腺腫瘍
リンパ腫
軟部組織肉腫
悪性腫瘍でも、早期に発見し治療することで良好な経過をたどるケースもあります。
炎症や感染
腫瘍ではなく、炎症や感染によってしこりができる場合もあります。
代表的なもの
膿瘍
皮膚炎
虫刺され
このような場合は、適切な治療によって改善することが多いです。
良性と悪性の見分け方
飼い主様からよくいただく質問が
「このしこりは良性でしょうか?悪性でしょうか?」
というものです。
しかし、残念ながら見た目や触った感じだけで確実に判断することはできません。
例えば
脂肪腫のように柔らかいしこりでも、別の腫瘍であることがありますし、逆に硬いしこりでも良性の場合があります。
そのため、しこりの性質を調べるには
細胞診
病理検査
などの検査が必要になります。
しこりは様子を見てもいい?
小さなしこりが見つかった場合、「もう少し様子を見てもいいのでは」と考える方もいらっしゃいます。しかし、次のような場合は早めの受診をおすすめします。
こんな場合は早めの受診がおすすめ
しこりが急に大きくなった
赤くなっている
出血している
硬い
皮膚に固定されている
数が増えている
また、しこりが小さくても悪性腫瘍であることがあります。
早期に検査を行うことで、治療の選択肢が広がることがあります。
犬のしこりの検査
しこりの原因を調べるために、次のような検査を行います。
細胞診
細い針を使ってしこりの細胞を採取し、顕微鏡で調べる検査です。比較的負担が少なく、多くのしこりで実施されます。
病理検査
手術などで採取した組織を詳しく調べる検査です。腫瘍の種類や悪性度をより正確に評価することができます。
画像検査
腫瘍の広がりや転移の有無を調べるために
レントゲン検査
超音波検査
CT検査
などを行う場合があります。
犬のしこりの治療
治療方法は、腫瘍の種類や進行度によって異なります。
主な治療は次の通りです。
外科手術
抗がん剤治療
分子標的薬
経過観察
すべてのしこりがすぐに手術になるわけではありません。検査結果をもとに、適切な治療方針を検討します。
電気メス
腫瘍科受診のタイミング
次のような場合は、腫瘍科での評価をおすすめします。
しこりが見つかった
しこりが大きくなってきた
がんと診断された
手術をすすめられている
セカンドオピニオンを聞きたい
腫瘍の診療では、早く正確な情報を得ることがとても重要です。
犬のしこりでお悩みの方へ
犬のしこりの多くは良性ですが、中には悪性腫瘍である場合もあります。
大切なのは、必要な検査を行い、正確に評価することです。
当院では、腫瘍科認定医による診断と治療を行っています。
「まだ治療を決めていない」「まず相談だけしたい」
という場合でも問題ありません。
まずは現在の状況を整理するところから、お気軽にご相談ください。
よくあるご質問
犬にしこりを見つけたら、まず何をすればよいですか?
まずはしこりの場所、大きさ、硬さ、色などを確認し、いつ気づいたかを覚えておいてください。スマートフォンで写真を撮っておくと、大きさの変化を後から比べるときに役立ちます。見た目や触った感触だけでは良性か悪性かを判断できませんので、気になるしこりがあれば早めに動物病院で診てもらうことをおすすめします。
しこりが良性か悪性かは、触っただけでわかりますか?
触った感触だけで確実に見分けることはできません。柔らかいしこりでも脂肪腫とは限らず、悪性腫瘍のこともあります。逆に、硬いしこりが良性であることもあります。性質を調べるには、細い針で細胞を採取して顕微鏡で調べる細胞診や、手術で採取した組織を詳しく調べる病理検査が必要になります。
小さなしこりなら、しばらく様子を見ても大丈夫ですか?
小さくても悪性腫瘍のことがありますので、一律に様子を見てよいとは言えません。しこりが急に大きくなった、赤くなっている、出血している、硬い、皮膚に固定されている、数が増えているといった場合は、早めの受診をおすすめします。早く検査を行うことで、治療の選択肢が広がることがあります。
どんな検査から始めるのですか?
多くの場合、まず細胞診から始めます。細い針でしこりの細胞を採取して顕微鏡で調べる検査で、比較的負担が少なく行えます。必要に応じて、手術で採取した組織を調べる病理検査や、腫瘍の広がりや転移を調べるレントゲン検査、超音波検査、CT検査を行います。しこりの状態を診たうえで、必要な検査をご説明します。
高齢の犬でも検査や治療を受けられますか?
年齢だけで検査や治療を諦める必要はありません。全身の状態を確認しながら、体への負担が少ない検査から進めることができます。治療についても、手術、抗がん剤治療、分子標的薬、経過観察など複数の方法があり、動物たちの状態やご家族の希望をうかがったうえで方針を検討します。
セカンドオピニオンを聞きたいのですが、受診できますか?
はい、セカンドオピニオンのご相談も受け付けています。すでにがんと診断されている方や、手術をすすめられている方の相談も承ります。現在の検査結果や資料をお持ちいただくと、状況を整理しやすくなります。まだ治療を決めていない段階でも問題ありません。
検査や治療の費用はどのくらいかかりますか?
費用はしこりの状態や必要な検査、治療方針によって変わります。診察のうえで、内容とあわせてご案内しますので、気になる点はお気軽にご相談ください。当院では腫瘍科認定医が診断と治療を行っています。
SUPERVISED BY / 監修
このページは、南大沢どうぶつ病院 院長・獣医師 保坂 創史(日本獣医がん学会 獣医腫瘍科認定医Ⅰ種)が監修しています。
最終更新日:2026-06-25
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