心雑音があると言われましたが、すぐに治療が必要ですか?
心雑音は心臓病のサインのひとつですが、雑音があるからといってすぐに治療が必要とは限りません。大切なのは、心エコー検査などで心臓の状態を正確に評価し、進行度(ステージ)を把握することです。当院ではACVIMガイドラインに基づき、治療を始めるべき段階かどうかを判断します。一方で、雑音がなくても心筋に異常があるケース(特に猫のHCM)もあるため、気になる場合は一度ご相談ください。
犬に多い心臓病は、どんな病気ですか?
犬で最も多く見られる心臓病は「僧帽弁閉鎖不全症(MVD)」です。とくに小型犬の中高齢期に多く、初期には症状がほとんどなく、健診の聴診で心雑音として見つかることが多い病気です。早い段階で見つけて、適切な時期に管理を始めることが大切です。
猫に多い心臓病は、どんな病気ですか?
猫で最も多い心臓病は「肥大型心筋症(HCM)」です。心雑音が聞こえないまま進行していることもあり(無音性)、初期には症状がほとんど見られません。進行すると呼吸が速くなったり、動脈血栓塞栓症(ATE)を合併することがあります。
心臓病は治りますか?
多くの心臓病は、完全に治すことよりも、長く付き合いながら管理していく病気です。進行を抑え、つらい症状をやわらげ、穏やかな生活をできるだけ長く維持することを目指します。定期的な検査で状態を見ながら、治療を調整していきます。
症状がないのに検査や治療をする意味はありますか?
あります。近年の獣医循環器学では、「症状が出てから」ではなく「症状が出る前から」治療を始めて進行を予防する考え方が主流です。たとえば僧帽弁閉鎖不全症では、心拡大が見られる段階(ACVIMステージB2)でピモベンダンを投与することにより、心不全の発症を遅らせられることが臨床研究で示されています。無症状期の発見・介入が、予後の改善につながることが期待されます。
何歳から心臓の検査を受けたほうがいいですか?
心臓病はシニア期に多くみられますが、犬種・猫種によってはより若い時期から注意が必要なこともあります。まずは健康診断での聴診が入口になります。心雑音を指摘された、リスクの高い犬種・猫種を飼っている、という場合は、一度ご相談ください。
家庭でできるチェックはありますか?
「安静時呼吸数」の測定が有効です。犬・猫が眠っているときに1分間の呼吸回数を数えるだけで、肺水腫の早期兆候に気づける場合があります。安静時の呼吸数が1分間に30回を超える日が続くようであれば、ご相談ください。測定方法は来院時に丁寧にご説明します。あわせて、咳・呼吸・失神の様子を動画で記録しておくと、診断の手がかりになります。
咳が続きます。心臓が原因のこともありますか?
あります。心臓が大きくなって気管を圧迫したり、肺に水がたまる(肺水腫)ことで、咳が出ることがあります。一方で、気管や呼吸器が原因の咳もあるため、その見極めが大切です。とくに夜間・明け方や運動後の咳は、一度ご相談ください。咳の様子を撮影した動画があると、診断の手がかりになります。
呼吸が速い・苦しそうです。急いだほうがいいですか?
呼吸が浅く速い、苦しそう、お腹を使って呼吸している、首を伸ばして呼吸している、といった様子は、肺水腫など緊急性の高い状態のことがあります。安静時の呼吸数がふだんより明らかに多い場合は、様子を見ずに、できるだけ早くご連絡ください。
失神・ふらつきがありました。受診したほうがいいですか?
失神やふらつきは、心臓病のサインのことがあります。とくに繰り返す場合は、一度心臓の評価をおすすめします。可能であれば、そのときの様子を動画で記録しておくと、診断の大きな手がかりになります。
猫が突然、後ろ足を引きずって痛がっています。緊急ですか?
緊急の可能性があります。猫が突然、後ろ足を引きずる・立てない・強い痛みを訴えるといった場合、肥大型心筋症などに伴う「動脈血栓塞栓症(ATE)」のことがあります。命に関わることもある緊急事態ですので、様子を見ずに、すぐ当院までご連絡ください。
心臓の薬は、ずっと飲み続ける必要がありますか?
心臓病は長く付き合っていく病気のため、多くの場合、お薬による管理を継続します。ただし、状態は時間とともに変化するため、定期的な検査をもとに、種類や量を調整していきます。自己判断で中止せず、気になることがあればご相談ください。
心臓病でも、散歩や運動をしてもいいですか?
病気の種類やステージによります。状態が安定している段階では、無理のない範囲での散歩や運動はむしろ大切です。一方で、症状が出ている場合や進行した段階では、興奮や過度の運動を控えたほうがよいこともあります。動物たちの状態に合わせて、どのくらいの運動が適切かをご案内します。
心臓の検査には、どれくらい時間がかかりますか?
聴診・胸部レントゲン・心エコー・血圧測定などを組み合わせます。基本的な検査は当日のうちに行え、結果の一部はその日にご説明できることが多くあります。詳しい所要時間は、動物たちの状態や検査内容に応じて受診時にご案内します。
心エコー検査は痛くありませんか?
心エコー検査は、体の表面から超音波をあてて心臓の動きを観察する検査です。多くの場合、麻酔は必要なく、痛みもほとんどありません。検査の際に毛を少し刈らせていただくことはありますが、動物への負担が少ない検査です。
費用はどれくらいかかりますか?
初診では、診察に加えて心エコーやレントゲンなどの検査を組み合わせて行うことが多く、検査の内容や病気の進行度(ステージ)、お薬の種類によって費用は変わります。当院では、必要な検査や治療の内容と費用の目安を、その都度わかりやすくご説明したうえで進めます。費用について不安があれば、遠慮なくご相談ください。
セカンドオピニオンは受けられますか?
はい、対応しています。今の治療方針が適切か確認したい、別の選択肢を知りたい、進行度を客観的に評価してほしい、といったご相談を承ります。現在の主治医の治療を否定するものではなく、状況を整理し、納得して選んでいただくためのお手伝いです。これまでの検査結果やお薬手帳をお持ちいただくと、スムーズです。
受診の目安
次のような様子がみられたら、お早めの受診をおすすめします。
- 健診などで心雑音を指摘された
- 夜間や運動後に咳き込む
- 呼吸が速い・浅い、苦しそう
- 失神した、ふらついて倒れた
- (猫)突然、後ろ足を引きずる・立てない
SUPERVISED BY / 監修
このページは、南大沢どうぶつ病院 副院長・獣医師 保坂 記世が監修しています。麻布大学附属動物病院の循環器科で専科研修を積み、循環器内科の診療に20年以上携わってきました。日本獣医循環器学会に所属しています。
最終更新日:2026-06-25