こんなときは、すぐにお電話ください
呼吸が苦しそう、ぐったりして動かない、後ろ足が急に動かなくなった、けいれんがある——こうしたサインは一刻を争います。診療時間内は、まずお電話ください。夜間・休診時は、かかりつけ以外でもお近くの救急動物病院を受診してください。
電話をかける 042-670-0733肥大型心筋症(HCM)は、猫で最も多く見られる心臓病です。メインクーン、ラグドールなどで多く見られますが、どの猫種でも起こり得ます。
どんな病気か
心臓の筋肉(特に左心室の壁)が厚くなり、心臓がうまく拡張できなくなる病気です。心雑音がなくても進行していることがあり(無音性の心筋症)、初期には症状がほとんど見られません。進行すると肺水腫や胸水によって呼吸困難を起こします。
特に注意が必要なのが「動脈血栓塞栓症(ATE)」という合併症です。心臓内にできた血栓が足の血管を塞ぎ、突然後ろ足を引きずる・立てない・強い痛みを訴えるといった症状が現れます。緊急性の高い、致命的になりうる病態です。
主な症状
呼吸が速い・浅い、口を開けて呼吸する
元気・食欲の低下(猫は症状を隠しがち)
突然の後肢麻痺・強い痛み(動脈血栓塞栓症)
当院での診断・治療
当院では猫種や年齢に応じたスクリーニングを行い、心エコー検査で左心室の肥厚や心房拡大を早期に捉えます。動脈血栓塞栓症のリスク評価として、左房拡大や自発性エコーコントラスト(もやもやエコー)の有無も確認します。
致命的な合併症を予防するため、必要に応じて血管拡張薬や抗血栓薬の投与を行います。猫は症状を隠すため、定期的な心臓チェックが早期発見の鍵となります。
よくあるご質問
なぜ症状がないうちから検査をすすめるのですか?
肥大型心筋症は、心雑音が聞こえなくても進行していることがあり、初期にはほとんど症状が見られません。猫はもともと具合の悪さを隠しやすく、飼い主様が気づいたときにはかなり進んでいることも少なくありません。だからこそ、症状が出る前の段階で心エコー検査を受けていただくことで、左心室の肥厚や心房の拡大を早めに見つけられます。
動脈血栓塞栓症(ATE)はどんなサインで気づけますか?
心臓の中にできた血栓が足の血管を塞ぐと、突然後ろ足を引きずる、立てない、強い痛みを訴えるといった様子が現れます。とても緊急性が高く、致命的になることもあります。このようなサインが見られたときは、すぐに動物病院へご連絡ください。
家庭では猫のどんな様子に気をつければよいですか?
呼吸が速い・浅い、口を開けて呼吸する、元気や食欲が落ちるといった変化が、心臓への負担のサインになることがあります。猫が落ち着いて休んでいるときの呼吸の様子を、ふだんから見ておいていただくと、いつもと違う変化に気づきやすくなります。気になる様子があれば、早めにご相談ください。
心臓病が見つかったら、必ずお薬による治療を始めるのですか?
診断された時点の状態によって、対応は変わります。当院では、致命的な合併症を防ぐために、必要に応じて血管拡張薬や抗血栓薬を使います。一方で、まだお薬を使わずに定期的な検査で経過を見ていく場合もあります。猫たちの状態に合わせて、無理のない方針を一緒に考えていきます。
動脈血栓塞栓症は予防できますか?
完全に防ぎきれるものではありませんが、リスクを見きわめて備えることはできます。当院では、左心房の拡大や自発性エコーコントラスト(もやもやエコー)の有無を確認して血栓のリスクを評価し、必要に応じて抗血栓薬の投与を行います。リスクが高いと考えられる場合ほど、定期的な検査で状態を追っていくことが役立ちます。
定期的な心臓検査はどのくらいの間隔で受ければよいですか?
猫種や年齢、これまでの検査で見つかった変化の程度によって、適した間隔は変わります。当院では猫種や年齢に応じたスクリーニングを行っており、心エコー検査の結果をふまえて次の検査の時期をご相談します。無症状の時期こそ、定期的なチェックが早期発見につながります。
SUPERVISED BY / 監修
このページは、南大沢どうぶつ病院 副院長・獣医師 保坂 記世が監修しています。麻布大学附属動物病院の循環器科で専科研修を積み、循環器内科の診療に20年以上携わってきました。日本獣医循環器学会に所属しています。
最終更新日:2026-06-25