「肥満細胞腫って、太っているからできるんですか?」「皮膚のしこりを取って検査したら、肥満細胞腫と言われたんですけど、悪性なんでしょうか」。名前の印象から、誤解されることの多いがんです。
それは、肥満(太っていること)とは関係なく、「肥満細胞」という免疫細胞が腫瘍化したものです。皮膚のしこりとして発見されることが多く、グレード(悪性度)によって治療方針が大きく異なります。

肥満細胞腫の基礎知識
「肥満」とは関係ない
肥満細胞は、アレルギー反応に関わる細胞の名前です。体型とは無関係です。
皮膚のしこりとして見つかることが多い
犬では皮膚にできることが多く、見た目だけでは良性のしこりと区別がつかないこともあります。
猫では皮膚と内臓の両方に
猫では皮膚型と内臓型(脾臓・腸)があり、それぞれ対応が異なります。
グレードという考え方
病理検査で決まる
切除した組織を病理検査に出すことで、グレード(悪性度)が決まります。これが治療方針の出発点です。
低グレード:完全切除で治癒も
切除のマージン(余白)が十分なら、追加治療なしで経過観察できることもあります。
高グレード:転移リスクと追加治療
転移のリスクが上がり、抗がん剤や分子標的薬の併用を検討します。
切除前にできること
細胞診で「あたり」をつける
手術前に細胞診を行うことで、肥満細胞腫の可能性を評価できます。手術範囲の計画にも役立ちます。
サイズ・部位・速さの評価
急に大きくなった、形が変わった、特定の部位(鼠径部・粘膜)にあるなどはリスク要素です。
当院でできること
当院は腫瘍科認定医Ⅰ種が在籍し、肥満細胞腫の診断・手術・追加治療までを一貫してお受けします。マージン設計、術後の追加治療、再発時の選択肢まで丁寧にご説明します。
「とりあえず取る」前に
しこりは「ただ取ればいい」ではなく、「正しく取る」ことが大切です。検査と計画にもう一歩かけることが、再発リスクを下げる近道です。
一緒に決めていきましょう
グレードと位置で、できることが変わります。ご家族の不安、その子の状態、治療の負担を含めて、一緒に最善の道を決めていきましょう。
南大沢どうぶつ病院 院長/日本獣医がん学会腫瘍科認定医Ⅰ種:保坂 創史
(八王子市・多摩市・南大沢エリアの動物病院)

