「検査の結果、あの子の体の中に**『がん』が見つかりました**」
この一言を告げられた瞬間、頭が真っ白になり、足元が崩れるような感覚に陥ってしまうのは、飼い主様として当然のことです。
これからの生活はどうなるのか、あの子は苦しくないのか。 多くの飼い主様が、言葉にならない不安を抱えたまま診察室を後にされます。
しかし、大切ながん治療において最も重要なのは、告知直後の「決断」ではなく、まずは**「現状と向き合うための準備」**です。
今回は、日本獣医がん学会認定医として多くのがん診療に携わってきた院長の保坂が、告知を受けた飼い主様がまず整理してほしい「3つのこと」についてお話しします。
正しい「情報の整理」をする
まずは、冷静に今の状態を把握しましょう。以下の3点をノートに書き出してみてください。
どんな種類のがんなのか
悪性度は? 進行速度は?
今の進行度(ステージ)は
どこまで広がっているか? 転移はあるか?
今の症状は何が出ているか
痛みがあるのか、それとも今は元気なのか?
インターネットには膨大な情報がありますが、目の前の子に全てが当てはまるわけではありません。まずは担当医から聞いた「事実」だけを整理することが大切です。
治療の「目的」を決める
がん治療には、いくつかの方向性があります。どれが正解というわけではなく、ご家族が「この子にどう過ごしてほしいか」が全ての基準になります。
根治(こんち)を目指す
手術や抗がん剤を組み合わせ、がんの消失を目標にする。
共存を目指す
がんを抑え込みながら、できるだけ長く、穏やかな時間を稼ぐ。
緩和ケア(QOL重視)
積極的な治療はせず、痛みや苦痛を取り除くことに専念する。
当院では「治療を強制すること」はありません。ご家族が何を一番大切にしたいのか、それを伺いながら一緒に最適なプランを考えていきます。
ご家族の「リソース(余裕)」を確認する
現実的な問題として、以下の3つのリソースについても話し合っておく必要があります。
時間の余裕
通院の頻度は? 自宅でのお薬やケアにどれくらい時間を割けるか?
経済的な余裕
どこまで治療を継続できるか。
心の余裕
ご家族全員が、その治療方針に納得できているか。
無理をして飼い主様が倒れてしまっては、動物たちの幸せは守れません。ご家族が無理なく続けられる範囲を見極めることも、立派な愛情の一つです。
私たちと一緒に決めていきましょう
がんは決して、告知されたらすぐに終わり、という病気ではありません。 早期発見であれば手術で完治を目指せることもありますし、進行していても、最新の医療で苦痛なく過ごせる時間を大幅に伸ばせるようになっています。
南大沢どうぶつ病院は、八王子・多摩・南大沢エリアで、腫瘍科診療に力を入れている病院です。 認定医としての専門的な知識と経験をもとに、医学的な事実を正しくお伝えし、その上で**「飼い主様が納得できる選択」**を全力でサポートします。
答えを急ぐ必要はありません。まずは深呼吸をして、私たちに不安な気持ちを話してください。一緒に、その子にとっての最善を見つけていきましょう。