「健康診断で心臓に雑音があると言われて…」「うちの子、僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)と診断されました」。シニア期の小型犬を迎えるご家族から、よくいただくご相談です。突然の診断に、頭が真っ白になってしまう方も少なくありません。
それは決して珍しい病気ではありません。むしろ、シニア期の小型犬では非常に多くみられる、いわば「年齢とともに付き合っていく病気」のひとつです。大切なのは、正しく理解し、適切なタイミングでお薬と付き合っていくことです。
僧帽弁閉鎖不全症ってどんな病気?
心臓の弁がうまく閉じなくなる病気
心臓の中には、血液が逆流しないようにする「弁」があります。
僧帽弁は左心房と左心室の間にある弁で、加齢とともに変性してうまく閉じなくなることがあります。すると血液の一部が逆流し、心臓に負担がかかっていきます。
キャバリア・チワワ・マルチーズに多い
特に小型犬で多くみられ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルでは若い時期から発症することもあります。チワワ、マルチーズ、ポメラニアン、ヨークシャー・テリアなども要注意です。
ステージごとの考え方
ステージA・B:症状はないけれど経過観察
心雑音はあっても症状がない時期です。この段階では半年〜1年ごとの心臓超音波検査で進行を見守ります。
ステージB2:お薬を始めるタイミング
心臓の拡大が一定以上進んだ段階では、お薬を始めることで発症を遅らせられることがわかっています。「症状がないのに薬?」と感じる方もいらっしゃいますが、ここでの一歩がその後の経過を大きく変えます。
ステージC・D:心不全の症状が出てきた時期
咳、呼吸が苦しそう、運動を嫌がるなどの症状が出てきたら、お薬の調整が必要になります。
当院でできること
当院では循環器に力を入れており、心臓超音波検査による精密な評価を行っています。お薬の種類や量はその子の状態に合わせて細やかに調整していきます。「何の薬を、なぜ飲むのか」をしっかりご説明しますので、安心してご相談ください。
一緒に決めていきましょう
僧帽弁閉鎖不全症は、診断されてから何年も付き合っていく病気です。ご家族の生活リズムや投薬のしやすさも含めて、一緒に治療方針を決めていきます。「この子らしく長生きしてほしい」という想いに、私たちも寄り添わせていただきます。