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「猫伝染性腹膜炎(FIP)」は治る病気へ。諦める前に知ってほしい最新の治療と選択肢

「愛猫がFIP(猫伝染性腹膜炎)と診断された」 この言葉を聞いて、目の前が真っ暗になってしまう飼い主様は少なくありません。

少し前まで、FIPは「診断=死」を意味する、非常に残酷な病気でした。しかし、今、その常識は劇的に変わりつつあります。適切な診断と最新の治療によって、かつては助からなかった命が救われる時代になっているのです。

今回は、FIPと向き合っている飼い主様に知ってほしい希望について、南大沢どうぶつ病院の院長、保坂がお話しします。

猫

FIPはなぜ恐れられていたのか?

FIPは、多くの猫が持っている「猫腸コロナウイルス」が体内で突然変異を起こし、強い病原性を持つことで発症します。

ウェット型

お腹や胸に水(腹水・胸水)が溜まる。

ドライ型

内臓に塊ができたり、目や神経に症状が出たりする。

進行が非常に早く、これまでは対症療法しかありませんでしたが、現在はウイルスそのものにアプローチする治療が可能になっています。

当院が常備する「最新の治療薬」について

現在、世界的に高い治療効果が報告されている抗ウイルス薬として、当院では**「レムデシビル」と「モルヌピラビル」**の2種類を常備しています。

レムデシビル(注射・点滴)

初期集中治療やウェット型の重症例に非常に有効です。

モルヌピラビル(内服)

継続治療や、ドライ型(神経・眼症状)の改善に効果が期待できます。

これらの薬剤は、現時点で日本国内では一般発売されていません。そのため、これらを常備し、適切に使い分けられる病院は、日本国内でも限られています。 当院では、FIPの治療実績を積み重ねており、その日のうちからでも治療を開始できる体制を整えています。

早期発見が「寛解」への鍵

FIPの治療において、何よりも大切なのは**「スピード」**です。

  • 熱が下がらない、食欲がない。
  • お腹が膨れてきた、歩き方がフラフラする。

このようなサインがあれば、一刻も早い受診をおすすめします。当院ではFIP診断の経験が豊富な獣医師が、血液検査や超音波検査、PCR検査などを組み合わせて迅速に診断を行います。

「一緒に決める医療」を大切に

FIPの最新治療は素晴らしい効果がある一方で、お薬の費用や長期の投薬など、ご家族にとって大きな決断が必要になることもあります。

当院の価値観は**「選択肢を提示し、一緒に決める医療」**です。 最新の抗ウイルス薬を用いた積極的治療から、負担を抑えた緩和ケアまで、ご家族の状況と猫ちゃんの状態に合わせ、納得のいくまで話し合って決めていきます。

諦める前に、まずは相談してください

FIPは今、「助けられる病気」へと変わりつつあります。世界的には80〜90%以上の寛解率(症状が落ち着くこと)も報告されています。

八王子・多摩・南大沢エリアでFIPと戦っている猫ちゃんと飼い主様、一人で悩まずにぜひ一度ご相談ください。あの子にとっての「最善の道」を一緒に探していきましょう。

南大沢どうぶつ病院 院長・腫瘍科認定医Ⅰ種:保坂 創史

(八王子市・多摩市・南大沢エリアの動物病院)

南大沢どうぶつ病院院長保坂 創史
院長・腫瘍科認定医Ⅰ種:保坂 創史